その他の脳腫瘍 当院は、その他の松果体腫瘍、悪性リンパ腫、転移性脳腫瘍などの腫瘍についても、積極的に検査・治療を行っております。松果体部腫瘍の代表である胚細胞腫瘍(ジャーミノーマなど)は化学療法・放射線療法がとてもよく効くものが多く、神経内視鏡による生検術で組織診断を行った後、化学療法と放射線照射を行い、多くの症例で寛解に持ち込めています。なかには化学療法や放射線治療のみでは治癒に至らない場合もあり、そのような症例では追加の開頭手術により腫瘍摘出を検討することもあります。こうした化学療法や放射線治療の組み合わせについては日本国内の多くの施設が参加する統一された治療計画に当院も参加しており、全国水準の治療を行っております。 ■ 聴神経腫瘍に対しては、術中に持続顔面神経モニタリングや(聴力が保たれている患者さんには)聴性脳幹反応モニタリングを行うことで、顔面神経機能や聴力を最大限に温存する手術を行っています。 (代表例) すでに聴力が消失している巨大嚢胞性聴神経腫瘍に対して、持続顔面神経モニタリングのもとに腫瘍摘出を行い、術後は顔面神経麻痺なく経過されました。 脳原発悪性リンパ腫に対しても、腫瘍部位に応じて神経内視鏡や開頭下など適切な手術方法を選んで生検術を行っております。病理診断が確定したら、血液内科にてメトトレキセートを中心とする化学療法を行い、必要に応じて放射線治療も追加しています。近年の化学療法の進歩により治療成績が向上してきています。 右前頭葉悪性リンパ腫の患者様 左写真から、治療前⇒内視鏡生検術後⇒化学療法後(寛解) 転移性脳腫瘍の治療は原発巣(肺がん、乳がん、胃がんなど)を担当する診療科と連携しながら行います。多発例、大きさの小さなもの、深部の病変に関しては放射線照射が中心となるため、放射線治療科と連携し最適な照射法で治療を行います。大きさが大きく、表面にあり、個数が少なく、腫瘍の摘出によって神経症状の改善が見込めるものに関しては手術摘出を行う方がいい場合もあり、摘出術後には放射線照射を検討します。 左側頭葉転移性悪性黒色腫の患者様 左写真から、治療前⇒手術後 (文責:上月 暎浩)