顔面けいれん、三叉神経痛、舌咽神経痛 顔面のけいれんや顔面の痛みなどが、血管による脳神経圧迫で生じることがあり、このような病気は、片側顔面けいれん、三叉神経痛、舌咽神経痛などと呼ばれています。当院ではこれらの病気に対して、ボトックス注射療法や薬物療法さらにはペインクリニックとも連携した各種神経ブロック治療を行える体制を整えたうえで、患者さんの希望に応じて積極的に手術(微小血管減圧術)を行っています。 これらの病気は、各脳神経が頭蓋内で血管によって圧迫されて生じることがほとんどです(稀に腫瘍による圧迫や神経のねじれで生じることもあります)。当院ではMRI検査でこれら脳神経と血管の関係を詳細に検討したうえで(図参照)、患者さんの症状が典型的かどうか、薬物療法の効果があるかどうかなどを総合的に判断して、症状の回復が見込める方に手術を勧めています。 手術では、頭蓋内で血管を移動させることによって脳神経の圧迫を解除します。全身麻酔をかけて、耳の後方で皮膚を5cm程度切開し、頭蓋骨に2cm×3cm程度の穴を開けて、顕微鏡で観察しながら血管を移動させます。具体的には、テフロンフェルトを血管に巻いて、医療用の糊を用いて脳神経から離れたところに固定します。また血管移動による圧迫解除の判定に、顕微鏡を用いた観察以外に術中異常誘発筋電図の消失の確認などを行い、治療成績の向上を図っています。さらに聴力障害等の合併症を防ぐために手術中に聴性脳幹反応モニタリングを行い、合併症率の軽減を目指しています。 当院での2015年から2020年の治療成績は、片側顔面痙攣における完全消失89.1%・部分改善8.7%・不変(再発)2.2%、三叉神経痛における完全消失90.5%・部分改善4.8%・不変(再発)4.8%となっています。この病気でお悩みの方は、気軽にご相談下さい。 ■ 片側顔面痙攣 ■ 三叉神経痛 (文責:松田 真秀)