筑波大学では上記、「脳腫湯全国統計調査と解析」 の調査研究に参加しています。
筑波大学 のデータを脳腫瘍全国統計委員会事務局に登録しています。以下研究の概要を示します。

 背景

脳腫瘍は原発性脳腫瘍と転移性脳腫瘍に大別されるが、WHO 分類では原発性脳腫瘍は126種類に細分化されている(WHO classification, Tumours of the Central Nervous System 4th edition, 2007)。
さらに脳下垂体腫瘍は少なくとも8種類に分類され、各臓器の癌の脳転移もあわせると脳腫瘍は200 種類以上にも分類されると考えられる。
一方、原発性脳腫瘍の発生頻度は10 万人あたり11-12 人と報告されており、日本圏内では年間1万3千人から1万4千人程度と考えられる。脳腫瘍は発生頻度が低いにもかかわらず、病理診断が多岐にわたるため、個々の脳腫瘍の発生頻度・疫学・治療内容・生存率を検討するためには、単施設での報告だけでは不十分であり多施設共同研究が必要である。  

日本脳腫瘍全国統計委員会は1975年に創立され、国立がんセンターならびに全国80大学の医学部脳神経外科教授がメンバーとなり、脳腫瘍の実態調査と治療成績の向上のために、日本国内の主要施設における脳腫瘍の発生頻度・疫学・治療内容・生存率などについて報告を受け解析を行ってきた。
2003 年度には、1969-1996 年度までの98,647 例の脳腫瘍患者の解析結果が、脳腫瘍全国統計第11 版として公表された〔Report of Brain Tumor Registry of Japan, Neurologia medico-chirurgica, Supplement Vol.43, September,2003〕。
脳腫瘍全国統計第11 版によると原発性脳腫瘍の登録症例は年間約5,000 例であり、園内で発生する原発性脳腫瘍の約半数を占めていると考えられる。
脳腫瘍全国調査は、2002 年度までは4 年おきに実施されてきた。これまでの調査では患者のID·生年月日・氏名などの個人情報を集め(これまでのデータはすでに破棄)患者の生存確認を行ってきたが、個人情報保護法案の実施に伴い追跡調査は困難となった。そこで脳腫瘍全国統計調査は治療開始後5年間経過した症例について、既存の試料をもとに病理診断・疫学・治療内容・生存確認などを行うこととした。

 本研究の目的

脳腫瘍思者の病理診断・年齢・性別・治療内容・生存確認などを全国調査し、脳腫瘍の疫学・患者背景・生存率を明らかし、脳腫瘍患者の治療に役立てることを目的とする。

 研究対象

2005 年以降に全国の脳神経外科施設(日本脳神経外科学会A/C項施設)で、脳腫瘍と診断された患者を対象として、生年・性別・病理診断・発生部位・既往歴・治療内容・再発の有無・生存確認などについての調査を開始する。
また2005 年度以降2008 年までに診断された患者については、5 年を経過した時点で適宜オンライン登録する。
したがって、2008 年に診断された患者の登録が終了するのは2013 年となる。経時的に診断治療から5年経過した症例を登録してゆき、追跡調査含め、2020年末までに登録を行う予定である。

 調査方法

大学病院医療情報ネットワーク(UMIN ;センター長東京大学大学院公共健康医学専攻医療コミュニケーション分野教授木内貴弘)のシステムを利用し、UMIN 内のインターネット医学研究データセンター( Internet Data and Information Center for MedicalResearch; INDICE)を利用したオンラインでの医学研究データ収集を行う。
各施設のデータ登録者はあらかじめ脳腫瘍全国統計委員会に届け出た上で、ID/パスワードを取得するものとする。
データ登録者はまず2001-2004 年度に治療を開始した脳腫瘍症例の匿名化されたデータ入力を適宜行う。全国より回収されたデータは、国立がんセンター内の脳腫瘍全国統計委員会事務局でのみダウンロードできることとする。
ダウンロードされたデータは、国立がんセンター脳腫瘍全国統計委員会委員長・事務局長が厳重に保管し、脳腫瘍全国統計委員会ならびに東京理科大学理学部数学科宮岡研究室で解析することとする。

 オンライン登録のための手順

(1)日本脳神経外科学会・脳腫瘍全国統計委員会よりオンライン登録のための案内
(2)登録者の申請(UMIN-ID を同時に取得)
(3)登録者に対して脳腫瘍全国統計委員会よりID/パスワードを交付
(4)オンライン登録
(5)データをダウンロード腫瘍全国統計委員会事務局)
(6)データを東京理科大学理学部数学科宮岡教授へ送付
(7)データ解析

 解析方法・内容

オンライン登録によって回収されたデータは、適宜、国立がんセンター脳神経外科に設置された脳腫瘍全国統計委員会事務局でチェックし、不十分なデータについて登録者に確認を行う。
ダウンロードは脳腫瘍全国統計委員会事務局でのみ行われ、データを厳重に管理する。
回収されたデータは脳腫瘍全国統計委員会事務局および東京理科大学理学部数学科宮岡研究室で解析される。
解析内容は、原発性および転移性脳腫瘍の病理分類別の発生頻度・生存率・再発率など添付資料(2)に示す通りである。各脳腫瘍の病理診断について、年齢・性別・発生部位・治療内容別に解析を行う。

 データの管理・保存

ダウンロードしたデータは脳腫瘍全国統計委員会事務局および東京理科大学数学科宮岡研究室でのみ厳重に管理・保存する。

 
PAGE TOP