脳血管障害

脳血管障害(いわゆる脳卒中)は脳梗塞、脳出血、くも膜下出血に分類されます。脳血管障害は、死因原因の第4位、寝たきり原因の第1位となっている病気であります。予防に勝るものはありませんが、ひとたび脳血管障害をきたした場合には速やかな検査や治療が必要になります。


予防は非常に大切です

診療体制

当科の特徴としては、外科治療のほかに脳血管内治療にも力を入れており、脳血管障害を専門とするスタッフはいずれの治療にも対応できるようにしております。外科治療は脳神経外科に顕微鏡手術が導入された当初から行われており、確実性が高い治療方法です。しかしながら、基本的には皮膚に切開を入れたり、開頭術を行いますので、審美的に問題となることもございます。脳血管内治療は比較的新しい治療法で皮膚の切開を必要といたしません。最近の医療機器の進歩によって以前は治療困難であった疾患にも対応できるようになってきております。脳神経血管内治療指導医1名、専門医2名。

当院では、脳神経外科以外にも神経内科、循環器内科、代謝内科、救急・集中治療部、リハビリテーション科などと協力体制を取りながら診療にあたっております。

連携体制

茨城県内をはじめとした関連施設とも密に連携を取っており、患者さんの状況によっては、当院にご紹介または救急搬送していただいて治療を行ったり、当院医師が出向いて治療に参加することがございます。

また脳血管障害を発症しますと後遺症が残ることがあります。後遺症の程度によって近隣のリハビリテーション専門病院や療養型病院などと連携を取りながら診療にあたっております。

脳梗塞

脳梗塞は、脳の血管が狭窄もしくは閉塞することで脳細胞に血液が十分にいきわたらずに起こる病気です。高血圧・糖尿病・高脂血症・運動不足・喫煙・多量飲酒・心房細動などの不整脈による生活習慣病の影響が強く、動脈硬化という現象が大きな原因の一つです。  運動麻痺、感覚障害、呂律が回らない、などの症状が出現したら、一刻も早く病院を受診する必要があります。

治療方法

発症超急性期

  • 血栓溶解療法:t-PAという血栓を溶かす薬剤を点滴投与して、閉塞した血管の血流を再開通する治療法です。発症から4時間30分以内が適応となります。
  • 血栓回収療法:カテーテルを使用して、血栓を取り除く治療法です。発症から8時間以内が適応となります。


血栓回収療法の1例

発症早期または軽症脳梗塞

  • 内科治療:上記治療が適応とならない場合には点滴治療や内服治療が行われます。

再発予防

  • 内頚動脈狭窄症に対しては、病変の評価を詳細に行って、頚動脈内膜剥離術や頚動脈ステント留置術を行います。


頚動脈内膜剥離術の1例


頚動脈ステント留置術の1例

  • 内頚動脈閉塞症・中大脳動脈閉塞症:脳血流の閉塞が認められる場合にはバイパス手術(浅側頭動脈―中大脳動脈吻合術)を行います。


バイパス手術の1例

もやもや病

非常にまれな病気でありますが、日本人に多い病気でお子さんから成人の方まで、発症する病気です。お子さんの場合は一時的な脳虚血、脳梗塞で発症することが多く、成人の場合は脳梗塞、脳出血のいずれも見られます。無症状の場合でも将来脳梗塞や脳出血をきたすことがあり、治療を行うことが勧められます。

治療方法

  • 間接血行再建術:開頭手術で側頭部の筋肉や組織の一部で脳の表面を覆って、血流を補う治療法です。基本的にはお子さんが対象となります。
  • 直接血行再建術:皮膚を養っている血管を脳の血管につなげる手術です。お子さん、成人のいずれにも対象となります(図)。


直接血行再建術の1例

脳内出血

脳梗塞と同様に動脈硬化が主たる原因ですが、とくに高血圧の影響が強いことが分かっています。近年は抗血小板薬や抗凝固薬を内服されている方にも多く発症いたします。定期的な血圧測定を行って、収縮期血圧(最高血圧)140mmHg以下に管理することが重要です。

治療方法

  • 降圧治療:出血が少ない場合または外科治療が困難な場合には降圧治療を中心とした点滴治療を行います。
  • 外科治療:出血が多い場合には外科治療を考慮することがあります。外科治療の場合には内視鏡的血腫除去術または開頭血腫除去術を行います。


開頭血腫除去術の1例

くも膜下出血

40-60歳代の働き盛りに多い疾患で、しかも生命にかかわることからよく知られている病気です。 脳動脈瘤という血管の瘤(こぶ)が破裂して起こることがほとんどです。早期の治療が必要となり、脳動脈瘤の形や部位などによって治療方法を選択します。

治療方法

  • 開頭クリッピング術:開頭手術によって手術用顕微鏡を用いて脳動脈瘤を観察して、再出血を起こさないように脳動脈瘤にクリップという金属をかけて動脈瘤内に血流が入り込まないようにする治療法です。


開頭クリッピング術の1例

  • コイル塞栓術:カテーテルを用いて、脳動脈瘤にまでマイクロカテーテルという非常に細いカテーテルを挿入します。動脈瘤の中にプラチナ製のコイルを充填して、動脈瘤内に血流が入り込まないようにする治療法です。


コイル塞栓術の1例

未破裂脳動脈瘤

脳ドックや頭部の精密検査を行うことで偶然に脳動脈瘤がみつかるケースが増えています。大きさや部位にもよりますが、年間の破裂率は約1%前後と言われています。未破裂動脈瘤の治療に関しては脳ドックガイドラインや脳卒中ガイドラインに準じて、患者さんの状態等を考慮して行っております。未破裂脳動脈瘤に関して十分にお話を聞いていただいたうえで、治療を希望される場合には開頭リッピング術またはコイル塞栓術などの治療(上記)を行います。

治療を行うことが推奨される方

  • 原則として患者さんの余命が10~15年以上ある
  • 大きさ5~7 mm以上の未破裂脳動脈瘤
  • 5mm未満であっても
    • a)症候性
    • b)後方循環、前交通動脈、内頸動脈-後交通動脈部などの部位
    • c)不整形

脳動静脈奇形(AVM)

脳動脈が静脈と直接に吻合する病気で比較的まれではございますが、脳内出血やけいれん発作で発症することが多く、お子さんを含めた若い人に多い疾患です。病巣の場所、大きさなどによって治療の難しさが大きく異なります。  手術治療・血管内治療・放射線治療を組み合わせて治療することも少なくありません。

治療方法

  • 血管内治療:この治療法のみで完全治癒することは難しく、大型や手術難治性のものに対して、手術前または放射線治療前に行っております。
  • 手術治療:手術可能な部位に病気がある場合には完治性の高い治療法です。
  • 放射線治療:当院では大型・難治性脳動静脈奇形に対しては陽子線治療を行っております。詳細は筑波大学陽子線医学利用センターのホームページをご参照ください。


脳動静脈奇形の1例

硬膜動静脈瘻

硬膜内で本来は直接のつながりのない動脈と静脈が何らかの原因で直接つながってしまう病気で、外傷後のものと原因不明のものがあります。症状は場所によって異なりますが、結膜充血、眼球突出、拍動性の雑音や耳鳴り、などが主な症状です。まれに脳内出血やくも膜下出血をきたすこともあります。治療に難渋することも多く、複数回の治療が必要になることもあります。

治療方法

  • 血管内治療:この病気の第一選択となります。病態によって、動脈経由で塞栓術を行う場合と静脈経由で塞栓術を行う場合があります。


硬膜動静脈瘻の1例

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