小脳橋角部腫瘍・頭蓋底・間脳下垂体腫瘍

当院の特徴は、多岐にわたる頭蓋底・間脳下垂体腫瘍に対し、積極的に根治を目指した治療を行っている点です。摘出可能な病変は、可及的な摘出を行い、必要な症例には陽子線治療(特に、脊索腫は一般に再発率が高いため術後陽子線照射を行っております)などの特殊治療も行っております。

聴神経腫瘍(聴神経鞘腫)を含めた小脳橋角部腫瘍に関しては、各種術中電気生理学的脳神経機能モニター(※)を駆使して脳神経機能を最大限温存しつつも、可及的に腫瘍全摘・亜全摘出を目指す方針で行っております。本方針で手術している最近3年間での聴神経腫瘍手術における顔面神経機能温存率90%以上と高い機能温存率を誇っております。また、術前聴力が保たれている例には聴力温存術式を行っていますが、これについても71%と高い聴力温存率で治療ができています。本腫瘍の治療においても耳鼻咽喉科との連携のもと、術前術後の聴覚機能の評価・サポートも含めた質の高い治療を行っています。基本的には手術による摘出のみで経過をみれるような摘出率をめざしていますが、症例に応じて放射線腫瘍科と相談のうえ、放射線治療(分割照射、定位放射線)も組み合わせた治療も行います。

頭蓋底腫瘍の中には、内視鏡的経鼻手術ではまだ根治できない大きな腫瘍もあり、その様な腫瘍に対しては高度な頭蓋底手術テクニックをもちいた開頭手術を行っております。つまり、当院では頭蓋底全般の腫瘍に対し、低侵襲の内視鏡手術を行える場合は内視鏡手術を、そうでないときは開頭手術をというように必要に応じて手術法を選択しています。また、眼科・耳鼻咽喉科領域の腫瘍の頭蓋底浸潤例に対しても、眼科・耳鼻咽喉科・形成外科と合同で手術・治療を行うなど、学際的・集学的治療を行っています。
また、この領域の腫瘍は必ずしも手術で取りきれるものばかりでなく、様々なタイプの放射線も組み合わせながら治療していく必要があります。またどのタイミングで放射線を使うかというのは非常に大切で、特に若い患者さんでは放射線照射後の20-30年後の長期的な影響も考える必要があるのです。当院では日本で最も早く陽子線照射を始めており、豊富な治療経験にもとづいて適切なタイミングで陽子線・定位放射線・分割照射などの中から最も適したタイプの放射線を選択して治療を行うことが可能です。放射線に関しては放射線腫瘍科と毎週合同カンファレンスを行い、緊密に連携しながら治療を行っています。


▲聴神経鞘腫の患者さん
腫瘍は顔面神経を残して全摘。術後、顔面神経機能は温存された。

経鼻的内視鏡手術(内視鏡下経鼻頭蓋底手術を含む)

当院は日本間脳下垂体外科学会の手術見学実習可能施設にも認定されている全国 的にもトップレベルの施設です。当院では2009年までに顕微鏡下の経蝶形骨洞法による下垂体腫瘍摘出術を501件行なってきました。その後2009年よ り助手が内視鏡を保持するFour-handテクニックを用いた内視鏡単独経鼻手術を導入し、約370例の手術を行ってきました。(2015年度83件)この方法では、耳鼻科と 協力しながら、今まで顕微鏡では見えなかった部位の腫瘍もハイビジョン内視鏡ではっきりと見ながら摘出できるようになり、摘出度が向上するとともに、合併 症も減り安全性も向上しています。先端巨大症などの機能性腺腫の治癒率も明らかに向上しました。最近では先端巨大症では手術単独で約90%の症例で寛解に もちこめています。

いずれにしても、この領域の腫瘍は単に腫瘍を取るだけでは不十分で、術後のホルモンなどの内分泌学的な治療や全身合併症 の治療も同時に行う必要があります。当院では代謝内分泌内科・産婦人科・眼科・耳鼻科・睡眠医学講座と連携しながらのトータルな治療を受けることが可能で す。

 

 

さ らに、かつては開頭術でしか手術できなかった鞍結節髄膜腫、頭蓋咽頭腫、脊索腫、眼窩内腫瘍をはじめとした頭蓋底腫瘍にたいしても、内視鏡下拡大経蝶形骨 洞手術(内視鏡下経鼻頭蓋底手術)によって鼻から低侵襲に摘出が可能になりました。開頭手術に比べると、経鼻手術は患者さんにとって圧倒的に負担が軽く、 症例によっては非常によい治療法です。2015年度は内視鏡下経鼻頭蓋底手術を26件行いました。この方法は経験のある施設でないと困難な手技ですが、当 院では大きな合併症を起こさず、良好な手術成績をおさめています。治療方針で悩まれている場合はお気軽にご相談ください。


▲鞍結節髄膜腫の患者さん
左写真から、術前⇒術後(全摘出)
内視鏡下に視神経、動脈など周囲の構造を見ながら安全に摘出


▲斜台部脊索腫の患者さん
左写真から、術前⇒術後
従来の顕微鏡手術では見えないところも含めほぼ全摘出

 

 

▲頭蓋咽頭腫の患者さん
左写真から、術前⇒術後
術後視力視野障害も速やかに回復し、下垂体機能も温存できました。

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