対象疾患・特色

脳腫瘍について

当院は脳腫瘍手術に関して年間約200件と、全国トップクラスの手術件数を誇っており、全国的にも有数の治療実績を誇っています。中でも神経膠腫(※)は年間約80例、間脳下垂体腫瘍(※)は年間約50例、その他の髄膜腫・聴神経鞘腫(※)などの良性腫瘍年間約50例の手術例があります。
また、手術のみならず、中性子捕捉療法(※)、陽子線治療(※)などの特殊な放射線治療や、様々な臨床治験薬を用いた化学療法、腫瘍ワクチン(※)などの免疫療法など様々な治療をテーラーメードで行っております。当院のようにすべての種類の脳腫瘍に対して、現在使いうる様々な方法を駆使して治療に当たれる施設は全国的にもほとんどないため、全国各地から患者さんをご紹介いただいています。
2012年12月には新病院手術室に術中MRI装置が導入され、さらに安全確実性を増した手術を提供しております。術中MRI撮影の主な適応は、神経膠腫(※)と再発または海綿静脈洞浸潤をともなう下垂体腫瘍でありますが、詳細は各章で紹介させていただきます。

中性子捕捉療法について

これまで東海村の日本原子力研究機構において行われていました中性子捕捉療法の臨床研究につきましては、3.11の地震後に研究用原子炉が停止し、その後再開の見込みがたっておりません。 中性子捕捉療法ご希望の患者さんにつきましては国内、国外の施設へのご紹介を含めましたセカンドオピニオンの受診を受け付けております。現在は、加速器を用いた中性子補足療法の開発に取り組んでおり、近日中の臨床試験を準備しております。

陽子線治療について

当院は、全国に先駆けて約25年前から陽子線治療を行ってきており、豊富な臨床経験を有しており、当院の陽子線医学利用研究センターには全国から患者さんが紹介されてきます。これらの患者さんについては、放射線腫瘍科と緊密に連携しながら治療適応を決めています。

陽子線はエネルギーが高く、また腫瘍の奥でエネルギーが急激に減衰するという特徴により正常脳の線量を抑えることができ、頭蓋底腫瘍の治療に適しています。

特に手術のみでは再発率が高く、また全摘出困難な例が多い脊索腫に関しては、私達は通常の放射線よりも陽子線治療の成績が良い事を報告(Igaki et al. Int J Radiat Oncol Biol Phys. 2004 Nov 15;60(4):1120-6 ) しており、その他の陽子線施設でも同様な報告がされており、非常に良い適応とされています。 また、神経膠芽腫などの悪性腫瘍、髄膜腫や下垂体腺腫などの頭蓋底に広く浸潤した腫瘍に対しては、陽子線治療の効果が期待されています。神経膠芽腫および小児脳腫瘍にかんしては、引き続き陽子線の臨床試験を継続しております。


▲神経膠芽腫に対する陽子線治療の成績(Mizumoto, Int J Rad Oncol Biol Phys 2009 )

ワクチン療法とは

私たちの施設では、1990年代から神経膠腫にたいする免疫療法を行ってまいりました。以前は、獲得免疫細胞の代表格であるCTL細胞や自然免疫に関わる免疫細胞の代表格であるナチュラルキラー(NK)細胞の体外培養の技術を応用し、脳腫瘍の患者さんに大量培養した免疫細胞を投与するというタイプの免疫細胞療法に注目しており、高度医療で免疫細胞療法を行える段階まで整備を整えてまいりました。基礎研究、パイロット研究やフェーズI/IIa研究など数多くの研究・臨床応用の蓄積がありますが、現在は休止とし、新規免疫細胞療法の準備を行っております。

当科では、2002年頃より理化学研究所と共同で、自己の腫瘍ワクチン治療(自家腫瘍ワクチン療法)の開発・臨床研究に取り組んでまいりました。自家腫瘍ワクチンとは、患者さんご本人の脳腫瘍を加工して抗原成分を取り出し、免疫賦活剤と混合して術後にご本人の皮内に接種し、脳腫瘍に対する免疫を獲得させるという免疫療法です。2004年までにはパイロット試験を、2008年までには他大学との共同研究としての初発膠芽腫に対する腫瘍ワクチンのフェーズI/IIa試験を終了しております。様々な臨床試験の後に、2012年からは本腫瘍ワクチンに対する多施設共同のランダム化比較試験(フェーズIIb/III)を開始しております。 今後も、免疫療法などの新規療法の臨床応用に精力的に取り組むとともに、それらの開発に関わる基礎的な研究も行っていく方針です。1例として、センダイウィルスベクター・エンベロープを用いた臨床研究も準備段階であり、近日中に開始を予定しております。

お問い合わせ

〒305-8576
茨城県つくば市天久保2-1-1

☎029-853-3900(代表番号)
☎029-853-3570(予約センター)